ジャマイカは、当社の配船スケジュールの中でも長年にわたり最も動きの多いカリブ海向け仕向地のひとつです。左側通行・右ハンドルの国であり、日本車への信頼が深く根付いているため、オークション仕入れの状態の良いフィールダーやフィットは、キングストンに着いた時点で買い手が待っている市場です。一方で、ジャマイカは当社が扱う中でも規制の厳しい輸入市場のひとつでもあります。船積み前に取得すべきライセンスがあり、年式制限は厳格で、関税構造は初めての輸入者を驚かせがちです。本ガイドでは、トレードボードの書類手続きからナンバープレート取得まで、当社がジャマイカのお客様と実際に進めている手順に沿って解説します。

まずは書類から:TRNとトレードボード輸入ライセンス#
ジャマイカに輸入されるすべての自動車には、車両輸入を管轄する政府機関 Trade Board Limited(トレードボード)が発行する輸入ライセンスが必要です。申請はトレードボードのオンラインシステムで行い、その利用には Tax Administration Jamaica(ジャマイカ税務庁)が発行する納税者登録番号(TRN)が必要です。まだ持っていない場合は、何よりも先にTRNを取得してください。これがないと手続きが一切進みません。
重要なのは順序です。車両が出港する前に――理想的には代金を支払う前に――ライセンスを申請してください。申請には車台番号・排気量・製造年などの車両情報が必要になるため、当社では落札直後に輸出抹消登録証明書の情報と写真をお客様へお送りしています。有効なライセンスのないままキングストンに到着した車は、書類が追いつくまで埠頭で保管料が加算され続けます。また、個人が一定期間内に輸入できる台数には上限があり(ディーラーは別枠の認可)、車両を確定する前にトレードボードへご自身の輸入枠を確認してください。
年式制限が買える車を決める#
ジャマイカはカリブ海諸国の中でも特に明確な年式制限を設けています。乗用車は原則として製造から5年以内、SUVと小型商用車は6年以内です。執筆時点では、日本のオークション市場の主力(リースアップや初回所有から流れてくる3〜7年落ち)は概ね対象範囲に収まりますが、最安値帯の在庫は対象外になります。
実務上の注意点を2つ。第一に、日本のオークションシートに記載される年式は初度登録年であり、必ずしも製造年と一致しません。当社では、ボーダーライン上の車両がライセンスを拒否されないよう、請求書発行前に車台番号から製造年月を確認しています。第二に、この制限は過去に何度も改定されているため、予算を立てる前にトレードボードで最新の規定を確認してください。なお、当社が船積みするすべての車両は輸出前検査を受けており、後にITAが確認する証明書と現車が一致するようにしています。
費用:CIF価格にかかる輸入関税・SCT・GCT#
ジャマイカの自動車関連税はすべてCIF価格(車両代金+運賃+保険料)を基準に計算されます。その上に、輸入関税(Import Duty)、特別消費税(SCT)、一般消費税(GCT)の3つが積み重なります。最も影響が大きいのはSCTで、排気量に応じて税率が変わります。1.5リッターのフィールダーと3リッターのSUVでは、合計負担率が大きく異なります。排気量によっては、合計負担がCIFの約半分から100%超に達することも珍しくありません。税率は変更されるため、契約前に必ずジャマイカ税関(Jamaica Customs Agency)で最新の税率をご確認ください。
以下は、1.5リッターのワゴンを想定した概算例です(実際の見積りではなく、切りの良い数字を使った参考値です)。

- FOB車両価格:9,500ドル
- キングストンまでのRoRo運賃:2,300ドル
- 海上保険:150ドル
- 関税・諸税(輸入関税+SCT+GCT):約7,000ドル
- ライセンス・検査・登録費用:約400ドル
登録まで済ませた総額はおよそ19,350ドル。FOB価格のほぼ2倍ですが、ジャマイカではこれが標準的な水準です。気に入った車を見つける前に、この構造を頭に入れておくことをおすすめします。上記はあくまで参考値であり、実際の税額は通関日の関税評価額と税率によって決まります。
輸送:キングストンまでRoRoで5〜7週間#
日本からキングストンへの直行RoRo定期便は多くないため、車両は積み替え(トランシップ)輸送になります。本船でハブ港まで運ばれ、カリブ海のフィーダー船に載せ替えられます。出港から埠頭までの目安として、当社では5〜7週間を見込むようご案内し、接続便の状況も追跡してお知らせしています。(各仕向地の輸送日数の比較は国別の輸入スケジュールをご覧ください。)
到着前に手元に揃えておくべき書類は、船荷証券(B/L)原本、英訳付きの輸出抹消登録証明書、コマーシャルインボイス、そしてトレードボードのライセンスです。当社のジャマイカのお客様のほぼ全員が、キングストンの認可通関業者を利用しています。特に初めての輸入では、保管料の節約だけでブローカー費用の元が取れます。
埠頭から先:ITAの車両検査、そしてナンバー取得#
税関から車両が引き渡された後は、2つのステップが残ります。まず、Island Traffic Authority(アイランド・トラフィック・オーソリティ)の検査場でフィットネス検査(ブレーキ・灯火・タイヤ・車体)を受けます。日本のオークション経由の車両は通常問題なく合格します。オークション評価点が重要な理由のひとつです。次に、フィットネス証明書、通関書類、有効な保険を揃えて、ジャマイカ税務庁の窓口(コレクトレート)で登録し、ナンバープレートを受け取ります。本船到着から公道走行まで、当社のお客様の多くは2週間以内に完了しています。
キングストンで需要が絶えないモデル#
ジャマイカからの引き合いは驚くほど一貫しています。トヨタ カローラフィールダーは島の定番ファミリーワゴンで、部品が安く、ハイブリッドの燃費が良く、リセールも堅実です。カローラアクシオは同じ機構のセダン版。コンパクト市場では、ホンダ フィットハイブリッドと日産ノート e-POWER が燃費性能で圧倒的な支持を得ています。ジャマイカの燃料価格を考えれば当然の選択です。そして商用ではトヨタ プロボックスがほぼ国民的存在。ルートタクシー、配送業、職人が使い続けても壊れにくく、島中の整備士がその構造を熟知しています。この5車種はいずれも年式制限と小排気量の低い税率帯に収まっており、それこそが人気の理由です。
FAQ#
トレードボードのライセンスは日本出港前に必要ですか?
制度上ライセンスが必要になるのは通関時ですが、実務上は出港前に取得しておくべきです。車が先に着けば保管料を払いながら待つことになり、万一対象外の車両だった場合、通関できない車を抱えることになります。当社では、お客様のライセンス取得が確認できるまで車両をヤードで保管しています。
製造から5年を超えた車は輸入できますか?
原則としてできません。帰国居住者やビンテージ車など限定的な例外が設けられてきましたが、条件は個別的で変更もあるため、掲示板の情報に頼らず、トレードボードに直接確認してください。
1.5リッター車の関税はいくらかかりますか?
CIF価格と通関日の税率によります。小排気量車はSCTの低い税率帯に入るため、1.5リッタークラスが取引の主流になっています。購入前にジャマイカ税関で最新の概算を確認してください。
キングストン向けの船積みを長く続けてきた経験から言えば、初めての輸入者がつまずくのは、ほぼ常に費用ではなく手順の順番です。TRNを取り、ライセンスを取り、それから車を買う。参考値ではなく実際の数字が知りたい方は、検討中のモデルをお知らせのうえ無料CIF見積りを依頼してください。FOB・運賃・キングストン着の概算をご返信します。




