ポートオブスペインの駐車場をひと回りすれば、トリニダード・トバゴ(T&T)の自動車市場の姿がそのまま見えてきます。トヨタ・アクア、カローラフィールダー、ホンダ・フィット、日産ノート――現地で「フォーリンユーズド(foreign-used)」と呼ばれる、日本からの輸入中古車がずらりと並んでいるのです。T&Tのお客様は、私たちAUTO-Xが接する中でも特に「日本中古車慣れ」した買い手です。「輸入すべきか」ではなく、「ライセンスはどう取るのか」「税金はいくらになるのか」「船はどれくらいかかるのか」と聞かれます。本記事では、正規の日本の輸出業者(MOBIC株式会社、許可番号 431310063715)として、実際にお客様へご案内している流れをそのまま解説します。

車より先に「輸入ライセンス」#
トリニダード・トバゴでは、フォーリンユーズド車両の輸入は許可制です。船積みの前――理想的には代金を支払う前――に、貿易産業省の**Trade Licence Unit(貿易ライセンスユニット)**へ、右ハンドル中古車の輸入ライセンスを申請します。申請はオンラインポータル「TTBizLink」経由で行い、本人確認書類、車両情報(車台番号・製造年・排気量)、カテゴリーによっては年式制限内であることの証明が求められるのが一般的です。
輸出側からの実務上の注意を2点。第一に、ライセンス記載の車台番号は実際に船積みする車両と一致している必要があるため、申請を確定させる前に車両を確定させること。第二に、審査期間はまちまちで、すぐに下りることもあれば数週間かかることもあります。ライセンスが後から追いつくことを期待して先に船積みするのは禁物です。ライセンスのない貨物は、税関で留め置かれることがあります。
「6年ルール」は必ず最新情報を確認#
T&Tはフォーリンユーズド車の年式に上限を設けています。近年、一般的な乗用車について広く適用されてきたのは製造年から6年以内という基準ですが、この種のルールはまさに改定されやすい典型です。過去にも上限は見直されており、商用車・CNG車・電気自動車などカテゴリーによって異なる扱いがなされてきました。特定の車両に決める前に、必ずTrade Licence Unitへ該当カテゴリーの現行の上限を確認してください。
もうひとつ、すべてのお客様にお伝えしている落とし穴があります。日本のオークションシートに記載されるのは初度登録年で、製造年より1年遅れることがあるのです。年式が上限ギリギリの車両については、入札の前に実際の製造時期を確認するようにしています。
「ロールオン・ロールオフ」は商売の名前でもある#
初めての方が戸惑う現地用語をひとつ。国際的にはRoRo(ロールオン・ロールオフ)は船積み方法の名称で、車をコンテナに入れず自走で船に載せる方式を指します。ところがトリニダードでは、「roll on roll off」はフォーリンユーズド販売業そのものの呼び名でもあります。日本車をまとめて輸入し、店頭在庫として販売する現地ディーラーのことです。
現地のroroディーラーから買えば、その週のうちに乗って帰れる代わりに、その利便性の分のマージンを支払います。私たちのような輸出業者から直接輸入すれば、オークション評価点・走行距離・整備履歴まで自分で選べて中間マージンを抑えられる代わりに、船を待ち、通関手続きを担うことになります(多くのお客様は数百米ドルで現地の通関業者に委託しています)。どちらが正解ということではなく、スピードを取るか、価格を取るかの選択です。
税関で待つ3つの負担:関税・MVT・VAT#
輸入諸税は**Customs and Excise Division(関税消費税局)**がCIF価格(車両+運賃+保険)を基準に査定し、3層構造になっています。
- 関税(Customs duty) — CIFに対する割合で、車種・排気量により変動します。
- 自動車税(Motor Vehicle Tax/MVT) — T&T特有の税で、排気量に連動します。1ccあたりの単価が段階的に上がる仕組みのため、1,500cc車と2,500cc車では負担が大きく異なります。
- VAT(付加価値税) — 執筆時点で12.5%。関税込みの価格に課税されます。
本記事であえて正確な税率表を載せないのは、改定が多いことに加え、ハイブリッド車・電気自動車には時期によってMVT・関税・VATの全部または一部の減免が排気量・年式条件付きで設けられてきたためです。この優遇措置は導入・失効・復活を繰り返しており、着地コストを最も大きく左右する変数であり、小型ハイブリッドがこの市場を席巻している理由でもあります。購入前に、Customs and Excise Divisionまたは通関業者へ最新の税率を必ず確認してください。港に着いてからでは遅いのです。

イメージをつかんでいただくため、典型的なハイブリッドハッチバックのあくまで一例を挙げます(特に税額は排気量と減免次第で大きく動く目安です)。
- 日本でのFOB価格:8,500ドル
- ポートオブスペインまでのRoRo運賃:約2,500ドル
- 海上保険:約130ドル
- 関税+MVT+VAT:約8,200ドル(排気量次第。ハイブリッド減免で大幅に下がる場合あり)
- 通関業者・港湾費用:約500ドル
航海:積み替えありのRoRoで6〜8週間#
日本からポートオブスペインへの直行RoRo航路はないため、車両は基幹航路の本船でハブ港まで運ばれ、カリブ海のフィーダー船に積み替えられます。港から港までおおよそ6〜8週間を見込み、ハブ港の混雑に備えて余裕を持つようご案内しています。コンテナ輸送も可能で、他の買い手と混載する場合には有利になることもあります。両者の違いはRoRoとコンテナ輸送の比較で率直に解説しています。
車が海上にある間に、船荷証券(B/L)、輸出抹消証明書とその英訳、インボイスをお送りします。通関業者が必要とする書類一式です。そして、いつもお伝えしている注意をここでも。送金は必ず、検証可能な会社情報に対してのみ行ってください。正規の輸出業者に支払っているかどうかを確認する方法は、安全な代金支払いガイドにまとめています。
ポートオブスペイン到着後:通関・検査・ナンバー取得#
本船が着岸すると、通関業者が税関へ申告し、諸税を納付して車両が引き渡されます。最後のステップは**Licensing Division(車両登録局)**です。車台番号の書類との照合と車両検査を経て登録され、T&Tのナンバープレートが交付されます。走り出す前に、現地の自動車保険への加入もお忘れなく。書類が揃っていれば、本船到着からナンバー取得まで1〜2週間程度が現実的な目安です。
指名買いが続く定番4車種#
毎年、トリニダードからのお問い合わせ上位は変わりません。トヨタ・アクア(ハイブリッドの経済性に減免適格性が加わり、事実上のデフォルト。現在のトヨタ・アクアの在庫一覧はこちら)、ファミリーや小規模事業者に人気のワゴンカローラフィールダー、そして広くて燃費の良いハッチバックのホンダ・フィットと日産ノート。いずれも小排気量でMVTの負担が軽く、T&T国内での部品供給も厚い車種です。現地のroroディーラーの店頭在庫が同じ顔ぶれなのも、まったく同じ理由からです。
FAQ#
輸入ライセンスは、船が日本を出る前に必要ですか? 制度上はトリニダードでの通関時に必要なものですが、実務上は出港前に承認を得ておくべきです。車が洋上にある間にライセンスが遅延・却下されると、保管料などの負担が発生しかねません。当社では、お客様のライセンス確認が取れるまで車両をヤードで保管しています。
年式制限を超えた車は輸入できますか? 一般的なフォーリンユーズド乗用車については、原則できません。それが上限を設ける趣旨だからです。特定カテゴリーの例外や、帰国者向けの特例が設けられていた時期はありますが、掲示板の情報ではなくTrade Licence Unitに直接確認してください。
総額はどのくらい見ておくべきですか? 大まかには、CIF(車両+運賃+保険)に諸税が乗ります。その諸税は、減免対象の小型ハイブリッドなら控えめに収まる一方、排気量の大きいガソリン車ではCIFを超えることもあるという大きな幅があります。この振れ幅こそ、当社が一律の料金表ではなく車両ごとにお見積りする理由です。
具体的な車種・年式で数字を知りたい方は、無料CIF見積もりをリクエストしてください。年式制限の確認、ポートオブスペインまでの運賃概算、減免適格性のチェックまでまとめてご案内します。




